ウェス・クレイヴン (Wes Craven)

この監督のこの一本

「この監督のこの一本」と言いながら、今回は二本挙げたいと思います。

『エルム街の悪夢』と『スクリーム』。ホラー映画史に残るこの二つのシリーズを生み出しただけでも、ウェス・クレイヴンという映画監督の存在は特別です。

私がクレイヴン作品で印象的に感じるのは女性主人公の描き方です。それまでのホラー映画では、殺人鬼や理不尽な恐怖から逃げ惑うヒロインが描かれることが多くありました。しかしクレイヴン作品では、自ら考え、状況を理解し、恐怖へ立ち向かう女性が物語の中心にいます。

一般的にホラー映画では「ファイナルガール」という言葉が使われますが、ウェス・クレイヴンはその存在を、より能動的なヒーロー像へ近づけた監督の一人に思えます。

ジャンルは異なりますが、恐怖から逃げるだけでなく、自ら状況を理解し立ち向かう姿には、『エイリアン』や『ターミネーター』シリーズにも通じるヒーロー像だと感じます。

年表を眺めると、クレイヴン作品の中で『ミュージック・オブ・ハート』だけが異色の存在です。ホラー映画を撮り続けた監督が、なぜこの作品を手掛けたのか。そんな疑問が湧き、まだ観ていないこの一本も見てみたくなりました。

こうした発見があることも、年表で映画監督のキャリアを眺める面白さの一つだと思っています。

これは制作者が年表を眺めながら、その作家らしさに触れられると感じた作品です。代表作や最高傑作を選ぶことを目的としたものではありません。