ジョン・カーペンター (John Carpenter)
この監督のこの一本
ニューヨーク1997 (1981)
『ハロウィン』と『遊星からの物体X』の間に位置する『ニューヨーク1997』。年表をたどってみると、この時期のジョン・カーペンターが、ジャンルを変化させながらも、一貫した姿勢で映画を作り続けていたことが見えてきます。監督だけでなく、脚本や音楽も手がけるカーペンターには、自分が面白いと思うものを、自分に可能な方法で形にしていくという印象があります。それゆえか公開当時の評価よりも、現代における評価の方が高い作品をいくつも生み出した監督といえるのではないでしょうか
カーペンターの映画では、理不尽な状況へ放り込まれた人々が、巨大な組織や理解しがたい力に抵抗します。『ニューヨーク1997』のスネーク・プリスキンも、国家によって危険な任務を強制されながら、完全に従うことを拒み続ける人物です。権威を信用せず、自分の流儀を手放さないスネークの姿は、映画作家としてのカーペンター自身とも重なって見えます。そして、カーペンター作品を忘れがたいものにしているのが、自ら手がける音楽です。『ハロウィン』に続き、本作でも反復するシンセサイザーの音が、癖になるような強い緊張感を生み出しています。
そして本作の視覚効果には、監督になる以前の若きジェームズ・キャメロンも参加しています。カーペンターも、当時からキャメロンの才能を高く評価していたそうです。その3年後、キャメロンは『ターミネーター』を監督します。夜の都市と、巨大な力に追われる孤独な人間。『ニューヨーク1997』と第1作の『ターミネーター』を並べると、どこか共通する感触があります。さらに遡れば、無言で標的を追い続ける『ハロウィン』のマイケル・マイヤーズにも、後のターミネーターを思わせるところがあります。
『ニューヨーク1997』は、本来ならば制約となるべき厳しい条件を、独特の世界観へ変えてしまうジョン・カーペンターという作家の揺るがないスタイルに触れる一本として、この映画を選びました。
これは制作者が年表を眺めながら、その作家らしさに触れられると感じた一本です。代表作や最高傑作を選ぶことを目的としたものではありません。